現役先生が教える学校を楽しくする方法

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こういうときにどうする!? 特別支援的な目線で〜視覚障害をお持ちの方〜

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この間、落ちていたサマンサのバッグチャームを拾って、

交番に届けたら、
三ヶ月後に所有権が私にうつることになりました。
受け取るかどうかは別として、
良いことしたあとって気持ち良いですね。
さて、今回は私の得意分野のひとつ、
特別支援の立場に立って、
事例とともにご紹介したいと思います。
今回取り扱うテーマは視覚障害をお持ちの方(書き方の都合上、視覚障害の方と書かせていただきます)です。
みなさん、白くて細い杖を左右に振りながら、
かつかつ、と音を立てながら歩く、
視覚障害の方を見たことはあると思います。
その方々は、目が不自由で、
全く見えなかったり、
見えててもものすごく視力が悪かったりするので、
音と自分の頭の中の地図を使って歩いています。
目が不自由なのに、
初めて行った場所で動けるはずもありません。
視覚障害の方は、
初めて行く場所には、
予め介助者の方と一緒にその場所へいって、
頭の中に地図を残します。
地図の作り方は人それぞれですが、
ここを何歩あるいたら、
右側にまがる。
電車とかだと、
ホームにある黄色い点々や線に
合わせて気をつけて歩いています。
もし、その地図がわからなくなってしまったらどうでしょう?
私もよくいう例なのですが、
目隠しをされて全くわからない場所に一人で放置された時のことを考えてください。
こわいですよね。

わからないですよね。
さけびたいですよね。
そんな不安を抱えて、
視覚障害の方は日々を過ごしているのです。
そんな方々を見かけたら、
どうすればいいか。
正しくわかっているようなら、
そのままでかまわないでしょう。
しかし、もし、違う方向へ、
例えば花壇の方へ進みかけていたら。。。
あなたならどうしますか?

。。。

私はその日、バス待ちで余裕があったので、
高田馬場の歩道の真ん中にあるベンチで座っていました。
「いい天気だな〜」と思っていたら、
カツカツカツと、
白杖視覚障害の方がもつ白い杖)の音がしてきました。
高田馬場や早稲田は比較的視覚障害の方が多いそうです。
なぜなら点字図書館があるから。
別におかしなことではないので、
ぼーっとしていると、
カツカツの音が近づき、
私の横のベンチの隙間、
後ろは花壇です、
に近づくよう、曲がってきました。
!?
このまま行ったら、
花壇にひっかかってぶつかってしまう!
とっさに動き、
声をかけると同時に肩をトントンと叩きました。
「何かお手伝いしましょうか?」
そうすると、その方は、
「あ、ありがとう御座います!西武の高田馬場駅にいきたいのですが」
「わかりました。ではお好きなところをおもちください」
と私はその方の手に少し触れ、
その方は私の腕をつかみました。
「あ、少し段差あります」
と、段差のあるところでは、
そう声をかけて、
無事、駅に着きました。
「ここからはわかります。本当にありがとうございました」
「いえいえ、それでは」
と、その方は改札へ入っていかれました。
。。。
私がこのようにできるのは、
若い頃にサービス介助士2級をとった経験からです。
その頃から多少基準は変わっているかもしれませんが、
私のやり方をご説明したいと思います。
まず、第一に、
困っているか判断するより前に声をかけてもいい、
ということです。
もし介助がいらなければ、
その場で、大丈夫です、と言われれば終わりですし、
もしかしたら、困っていることもあるので、
声をかけてきてくれたことを喜んでいるかもしれません。
それでは、声のかけ方にうつります。
まず、「お手伝いしましょうか?」
「お手伝いできることはありますか?」
と、あくまで、手伝わせてほしいという姿勢で、
声をかける、ということです。
手伝ってやってるのに、は違います。
あくまでボランティア精神でお声がけするのです。
ですから、すべて、こちら側からの『お手伝い』になります。
それを言ってから、
肩のあたりをトントン、と叩きます。
もちろん、優しく、私はここにいます、
とわかるように、です。
視覚障害の方は、
声をかけられているのが自分だとわからないことがあります。
ですので、
『声をかけているのはあなたですよ』
を示すために、
トントンとしてさしあげるのです。
そこで、「お願いします」と言われたら、
「では、どこか持ちやすいところをおもちください」とその方の手に触れます。
ここは諸説あるのですが、
私が案内してきた経験から、
その方がどこがつかみやすいか、なれているかは人それぞれです。
肩や腕が一般的にはなります。
また、ここは、「肩と腕、どちらがいいですか?」
とお聞きしても問題ありません。
上記の通り、大体その二箇所だからです。
それで、腕、と答えたら、
「では手を腕にもっていきますね」
とひとこと断ってから、
その方の手を腕にもっていきます。
あくまで、言ってからふれてください。
なれている方だとすっとつかんでくれることもあります。
また、その方との身長差で肩が腕がきまることもあります。
身長差がある場合は、
肩の方がバランスいいですし、
同じくらい、又はその方が小さい場合は、
腕の方がいいでしょう。
しかしあくまで、その方の希望に沿わせてください。
そして歩き始めたら、地面やまわりに気を張ります。
段差がある場合や階段がある場合は、
「ここから◯段の階段があります」
「残り1段です」
「20センチくらいの段差があります」
「人が多いのでゆっくり歩きます」
など、『その方には見えていないこと』をお伝えします。
そして、右に曲がるときなどは、
一度立ち止まってもかまいません。
「ここで右に曲がります」
と言った方が、
急な道順変更にその方がびっくりすることが少ないからです。
そして、きちんと、送り届けたら(その方がいいというところまで)、
「それでは」といって去ります。
お手伝いしてやったから、ではなく、
ボランティア、です。
金品要求などもってのほか。
『おてつだいさせてくれてありがとう』
くらいの気持ちでいましょう。
以上が、私が習ったご案内方法です。
「見えないこと」「見えていないこと」を
忘れなければ、きっとできるはずです。
そして中には、
きっぱり断ってきたり、
知的な障害もお持ちで、
きつい言葉が返ってくることもあります。
私も過去にきついことを言われ、
もうご案内なんてやめようと思いました。
でもそれは、障害がさせていること。
その方のせいではないのです。
または、その方が過去に案内してもらって嫌な思いをしたかもしれません。
そこを考慮できるだけの気持ちは持ちましょう。
人間は支え合って、
苦手なことや得意なことを活かしながら生きる者です。
見ることが苦手なら、
見える私たちが助けてあげましょう。
『ありがとう』
その一言がもたらす効果は、
どれだけ大きいものか、
次はあなたが体験してみてください。