そんなときどうする!? ~引きこもりになっちゃった生徒編を通して、周りの人を見てみよう~
引きこもり、登校拒否。。。
いま社会問題で、
彼ら彼女らは、社会の波にのまれています。
彼ら彼女らは、なりたくて、
引きこもりとかになったわけじゃない。
なかにはなりたかったって子もいるけどね。
今回は私の隣のクラスの生徒が、
引きこもりでトイレとか以外、
部屋から出なくなっちゃった時の話をします。
仮名とかふんだんに使ってますので、
ご容赦を。
彼の名前は、
新井 純 (あらいじゅん)
中2の男の子です。
実は私の一年生の時の教え子。
その頃から、
学校が不安だ、友達が悪口を言ってる、
と相談を受けていました。
私は学級会を開いたり、
アンケートをとったり、
実際に悪口を言っているという子達に話を聞いたのですが、
どうもそんな事実は見当たらず。
本人にもそれを伝えたのですが、
「うまく隠しているだけだ」
となかなか信じようとはしませんでした。
私は学区内に住んでいるので、
家庭訪問でいった純の部屋の前を通って帰って、
様子をみたりもしていました。
そして、彼は2年生になり、
6月には登校拒否をし、
7月に入ってから、
引きこもりをしだして、
一歩も家を出なくなった、
と、純の担任が頭を抱えている、
という話を聞きました。
私はそのとき、
中1担当。
持ち上がればよかったなぁと後悔しました。
そして、夏休み明けても純は登校拒否をし、
引きこもりを続け、
ついには、
私のところへ担任が助けてくれと話してきました。
「純、引きこもりって、本当に部屋から出ないんですか?」
「そうなんですよー!
私が行っても、ドア越しに物を投げつけてくるばかり!
なんなんだもう!」
「まぁ、純、少し気にしすぎるところ、あるから、そう気になさらないでください。
もしよかったら、明日にでも、私が行ってみましょうか?
一応、元担任ですし。」
「鈴木先生いってくれるんですかぁ!?
でもいまの新井、危ないですよ!
親にも相当反抗しているみたいだし。
あんまりやりすぎないでくださいね。」
「とりあえず、話してみます」
ということで、次の日。
「鈴木先生、お久しぶりです。
純のことで。。。本当に申し訳ありません」
「お母さん、大丈夫ですよ。
とりあえず、純くんと話せますか?」
「どうかしら。。。?
何を言っても『うるさい!』といって、
投げつけてくるものだから」
「じゃあ、とりあえず扉越しで話してみますね」
純の部屋は二階です。
階段を上がっていくと、
「誰だ!?
二人いるな!?
足音でわかるんだぞ!?」
と純の声がふってきました。
「あー、私だ、純。
中1のときの担任の鈴木だよ。
元気してたか?」
「げ、元気なわけないだろ!
何しに来やがった!?
学校ならいかないからな!
ここもでない!」
お母さんはおろおろするばかり。
そんなお母さんがかわいそうになったので、
私はアイコンタクトで、
お母さんは下へ降りてくださいと、
伝えます。
「お、昼飯くってねーじゃん。
せっかくうまそうなサンマなのに。
ね、くわねーの?」
「おれはカップラーメンとお菓子食ってるからいいんだよ!」
「んじゃ、私がいただくわ。
いただきまーす!
昼食ってなかったんだよねー!
んーんまっ!」
「。。。おまえ、なにしにきたの。」
「え?お前が元気かと思って。」
「だから元気じゃないだろ!
学校だっていってねーんだぞ!?」
「学校なんぞ、いかなくたって、
家で楽しくすごしてりゃーいーんだよ。
でもお前、楽しくなさそうだな。
何かあったのか?」
「さぐりはやめろよ!」
「さぐってねーよ。
お前の元担任として、
気になってるだけ。
気になってるなら普通聞くだろ。
それだけ。」
「変わんねーなお前。」
「そんな四ヶ月で変わるかよ。
あ、少しはやせたかも。」
「まじかわんねー。
俺とは大違いだ。」
「なに、純は変わったの?」
「大変わりさ。
俺、また悪口言われ続けたんだ。
それなのに、
担任、なんもしてくんねーの。
気のせいだって、
そればっかり。
俺の話全くきかねーんだよ。」
「あー。あの先生、新任だからな。
余裕ねえんだろ。」
「新任でも先生だろ!」
「あーその通りだ。
お前の言う通り。
だから、私が言っといてやるよ。」
「なんだよ。
なにを言うんだよ。」
「純の気持ち。
気のせいかもしれないけど、
調べてほしいんだろ?
本当に気のせいだって、
わかるまでやってほしいんだろ?」
「。。。ああ」
「私はどうやればいいか知ってる。
そのやり方をな。」
「お前だって歳くっ。。」
「あぁ!?なんだって!?」
「あ、いや、なんかすみません」
「んで、お前の気持ちは、私が伝える。
すぐに学校にこいとも、
そこから出ろとも言わない。
ただ、飯だけは、
食え。
お母さんが作ってくれた飯を食え。」
「。。。わかったよ。。。」
「んじゃ、私は早速、あの新任に伝えるからな。
学校戻る。
んじゃな。
純。次は学校であえたらいいな。」
「ああ。」
そこで階段を私が下りていると、
ふすまが開く音がして、
「って、俺のサンマ全部食ったの!?
おい!鈴木先生!」
「にしし、食いながらもしゃべれんのが、
先生の特技だ。」
と去っていく私でした。
。。。
この純のように、
一つのことに執着し、
悪い方向へ引っ張られ、
その悪い考えに、
心を支配されて動けなくなる、
それが引きこもりの原点になることもあります。
そんなの日常茶飯事で、
気にしてたらやってられない。。。
はい、その通りです。
でも、
それを気にする子達も中にはたくさんいるのです。
特別支援の枠に入らなくても、
性格のうちに、
刷り込まれています。
あれです。
「なんか暗い性格だよね」
「考え方、暗いよね」
それだけでも、
純のように、
負のスパイラルに入りやすい子達なのです。
これは、学校にいっている年代の子達に限りません。
だから、社会になじめない、うつ病がなくならないのです。
引きこもり、ニートがいなくならないのです。
もちろん、脳内の病気の可能性もありますが。
性格の問題だって、
立派な問題なんです。
純は私が助けられるところは助けました。
学校の先生だから?
いいえ、人間だからです。
あなたのまわりにいませんか?
日に日に太っていく、痩せていく、暗くなっていく、お肌が荒れていく。。。
あるいは、突然引きこもってしまう。
そういう人たちを助けてあげてください。
「最近、元気ないね、どうしたの?」
それでいいんです。
もし、無理そうだったら、
会社の心理相談室を使うとか、
病院、カウンセリングを使うとか。
方法はたくさんあります。
あなたに、負担が重すぎない程度に、
周りの人を助けてあげてください。